【超入門】中小企業のIT担当者が最初にやるべきこと
小さな会社でIT担当を任された皆さん、お疲れ様です!「今日からIT担当ね」と言われても、何から手をつけていいか途方に暮れている方もいるかもしれません。でも大丈夫。IT担当は、会社の生産性を高め、ビジネスを円滑に進めるための重要なポジションです。
この記事では、中小企業のIT担当者が着任時にまず取り組むべき、「最初にやるべきこと」をステップバイステップで解説します。これらを実践することで、会社のITインフラを健全な状態に保ち、将来的なトラブルを未然に防ぐ土台を築けますよ。
ステップ1:現状のIT資産と課題を把握する
まずは、あなたの会社にどんなIT機器やシステムがあるのか、そしてそれらがどんな状態なのかを把握することから始めましょう。家の片付けと同じで、何があるかわからなければ、どこから手をつけていいかわかりませんよね。
1. IT資産の棚卸し
会社にあるすべてのIT機器(PC、サーバー、プリンター、ルーター、NASなど)とソフトウェア(OS、Office、基幹システム、セキュリティソフトなど)をリストアップしましょう。
- 機器の種類と台数: どの部署に何が何台あるか。
- 設置場所: どこに設置されているか。
- 利用者: 誰が主に使っているか。
- 購入時期とリース期間: 機器の寿命や更新時期を把握するため。
- ソフトウェアのライセンス情報: 有効期限、バージョン、ライセンスキー。
エクセルなどで一覧表を作成すると、後々管理が楽になります。メーカー、型番、シリアルナンバーなども控えておくと、トラブル時にスムーズに対応できます。
2. ネットワーク構成図の作成(または現状把握)
社内のネットワークがどう繋がっているかを視覚化しましょう。難しく考える必要はありません。手書きでも構わないので、どこにルーターがあり、どのPCがどのように接続されているか(有線か無線か)、インターネットへの出口はどこかなどを図にしてみると、全体の構造が見えてきます。
- インターネット回線: 契約しているプロバイダ、回線速度。
- ルーター、ハブ: どこに設置されているか。
- サーバー、NAS: どこに設置されているか、アクセス方法は。
- 社内システム: どんなシステムが動いていて、どこからアクセスできるのか。
もし既存の図があればそれを確認し、最新の状態に更新しましょう。
3. 現状の課題とニーズのヒアリング
実際にIT機器を使っている社員の声を聞くことが大切です。普段の業務でITに関してどんな困りごとがあるか、どんな機能があればもっと効率的になるかなどをヒアリングしてみましょう。
- 「PCが遅い」「プリンターがよく詰まる」といった日常的な不満。
- 「ファイルの共有がしにくい」「オンライン会議の音声が不安定」といった業務効率に関する課題。
- 「こんなツールがあったら便利なのに」といった潜在的なニーズ。
これらの声は、今後のIT改善計画を立てる上での重要なヒントになります。
ステップ2:情報セキュリティの初期設定と強化
IT環境の現状を把握したら、次に最も重要なのが情報セキュリティの強化です。中小企業は「うちは狙われないだろう」と思われがちですが、大企業よりもセキュリティが手薄なため、サイバー攻撃の格好の標的になることがあります。
1. パスワードの管理を徹底する
全てのシステムやサービスで、安易なパスワードの使用を禁止し、複雑なパスワードの設定を義務付けましょう。
- 8文字以上、英数字記号の組み合わせを推奨。
- 使い回しは絶対にしないよう、社員に周知徹底。
- 可能であれば、**二段階認証(多要素認証)**の導入を検討しましょう。特に、メールやクラウドサービスなど、重要な情報にアクセスするアカウントには必須です。
2. セキュリティソフトの導入と更新確認
全てのPCに最新のセキュリティソフトが導入されており、定義ファイルが最新の状態に保たれているかを確認しましょう。
- もし未導入のPCがあれば、すぐに導入を。
- 定義ファイルの自動更新設定が有効になっているかチェック。
- 定期的なスキャンを実行するよう設定しましょう。
3. OSとソフトウェアのアップデート
WindowsやmacOSなどのOS、Officeなどの業務ソフトウェアは、常に最新の状態に保つことが重要です。アップデートにはセキュリティ修正プログラムが含まれていることが多く、放置すると脆弱性を突かれる原因になります。
- 自動アップデート設定が有効になっているか確認。
- 重要なアップデートは、業務に支障が出ないタイミングで速やかに適用するよう周知。
4. 不審なメール・サイトへの注意喚起
社員に対して、フィッシング詐欺やマルウェア感染の手口、不審なメールや添付ファイル、URLを開かないよう注意喚起をしましょう。
- 「身に覚えのないメールは開かない」「添付ファイルはむやみに開かない」などの基本原則を共有。
- 怪しいと感じた場合の報告先(あなた自身!)を明確に伝える。
ステップ3:情報共有ツールの検討と導入
中小企業では、情報共有が属人化していたり、古い方法に頼っていたりすることが少なくありません。適切な情報共有ツールを導入することで、業務効率が格段に向上し、コラボレーションが促進されます。
1. ファイル共有方法の見直し
USBメモリでのやり取りや個人のPCでの管理ではなく、一元的にファイルを共有できる仕組みを検討しましょう。
- クラウドストレージ(Google Drive, OneDrive, Dropbox Businessなど): インターネット環境があればどこからでもアクセスでき、共有・共同編集も容易です。
- NAS(ネットワーク接続ストレージ): 社内での大容量ファイルの共有に適しています。
どちらが良いかは会社の規模や用途によって異なりますが、まずは使い勝手の良いクラウドストレージから試してみるのがおすすめです。
2. コミュニケーションツールの導入
メールだけでなく、チャットツールを導入することで、スピーディーな情報共有や意思決定が可能になります。
- ビジネスチャット(Slack, Microsoft Teams, Chatworkなど): グループチャット、ファイル共有、ビデオ通話などが一元的に行えます。
- Web会議システム(Zoom, Google Meet, Microsoft Teamsなど): リモートワークの普及に伴い、必須のツールとなっています。
これらのツールは、無料プランから始められるものも多いので、まずは試用して使い勝手を確認してみましょう。
まとめ:焦らず、一歩ずつ進めましょう
IT担当として最初にやるべきことは多岐にわたりますが、一度にすべてを完璧にする必要はありません。まずは現状把握、そして情報セキュリティの基礎固め、最後に情報共有の改善と、ステップを踏んで着実に進めていくことが大切です。
分からないことや困ったことがあれば、一人で抱え込まず、インターネットで情報を検索したり、専門家に相談したりするのも良いでしょう。あなたの会社にとって最適なIT環境を築くために、一緒に頑張っていきましょう!